農業をデジタル技術でかっこよく稼げて感動があるものに! by デジタルトランスフォーマー 渡邊智之

デジタルトランスフォーマーの渡邊智之が近未来について語ります。

海外のスマート農業の取り組みについて

スマート農業管理で科学的栽培を促進 黒竜江省 | 新華社通信 (nordot.app)

本日は上記の記事を見つけましたのでコメントして行きたいと思います。

スマート農業の海外事例として有名なのはオランダなのは皆さんもご存じだと思います。私自身はオランダに行けてませんので現場感覚のある話にはならないのですが、多くの人がオランダに視察に向かわれており、それを聞くと行く意味あったのかな?と感じるのでなかなか行けてないのが実情です。

なぜそう感じるのかと言うと、まずは日本の農業のことをあまり知らない人が視察に行ってしまっていること。「そんなばかな」と思われるかもしれませんが海外出張となると企業としてもかなりの費用がかかるので現場でスマート農業に密着している社員ではなく、幹部クラスが行ってしまうんですよねえ~ 結果、「オランダの農業はすごい」という感想だけ持って帰ってくるんです。お金の無駄ですよね。

日本の農業のことを知った上で、オランダの技術を使えばどう変われるかという思考で見てこないと意味無いですよね。

さてオランダの技術は素晴らしいとして、日本でどれくらいオランダの設備を入れて農業されてる方がいるでしょうか?
超大規模で施設園芸を異業種参入でされている所ぐらいしか私は見た記憶がありません。

素晴らしいとわかっていてなぜ使わないのか、
一つは価格の問題があるとして、
大きな要因は、「日本では使えない」と判断されている農家が多いからと私は感じています。

なぜ使えないのか、オランダの機材はオランダの気候にあわせて作られているからです。四季がはっきりとわかれており、天候の変化も一日に細かく変わる日本の気候にあった使用にはなっていないと農家さんから聞いたことがあります。自動制御の部分も頻繁な変化により、動きっぱなしになり、早々に稼動部分が早々に故障してしまうそうです。

従って、その国の農業を支援する仕組みは自国の企業が作るのが良いと思っています。

日本においては北海道と沖縄ではまったく気候も違いますので、北海道の農家向けには北海道の企業が、沖縄の農家向けには沖縄の企業が開発を行うのがベストだと思っています。近くの会社が作ってくれた機器であれば何かあった時にすぐに駆けつけてもらえたりできるのもありがたいですよね。

アジアでは、韓国がスマート農業が進んでいると言われております。一度私も韓国のテレビに取材を受けたことがありますが、彼ら自身は韓国がアジアで進んでいる国だと思われているのは知らないようでした。

ということはそれほど差は無いんだと思います。

今回の記事は中国での取り組みですが、
中国の広大な国土で行う農業と日本の小さな畑がたくさんある農業ではやはり違いがあり、そのまま持ってきても使えない可能性が高いだろうなと感じます。

テクノロジーそのものの差別化は昨今難しいものになっております。
技術者の多くは、「ロジックが新しい」など言い凄さをアピールしますが、
使う側の農家としては、結果がそれほど変わらないのであれば価格の安い方を選ぶに決まっています。

地域の違いだけではなく、100人農家がいれば100通りの農業のやり方があると言いますが、その全てに対応せよとは言わなくてもある程度のカスタマイズを可能にしておくのは必要なんでしょうね。

これが企業には大きくのしかかる課題だと思います。
ラインナップを増やせば結果コスト増になりますからね。

講演とかで、良く聞かれる質問に、「スマート農業における技術面の課題」を聞かれますが、技術面ではそれほど課題は無いのが実情だと思っています。それよりもその技術を組み合わせて農家が買える価格にすること、これは必要に応じて精度の低い安い部品を活用するなどの判断も入りますが、
その結果使用する価値のあるギリギリのものに整合性をあわせて行くことがまさにさじ加減で難しいと思っています。
なぜ技術面で課題が無いかというと、農業の為だけの技術は基本的に値頃感があわないからです。他の産業で成功した技術を農業用に使えるようにするのが今現在の農業現場での研究開発です。
従って技術そのものは確立されたものであることが多いのです。

中国やオランダ、韓国、アメリカに「スマート農業」でも抜かれるんじゃないかと心配している方も多いのですが、まずは日本でちゃんと使えると太鼓判を押されるものになること、それが先決ですね。

安心安全で高品質な農作物を作っている日本で確立された技術であれば
焦らなくても立場は確立されて行くと思うからです。

では今日もこの辺で。。。。